海の中には多くの寄生虫が存在します。あさりやはまぐりにも寄生虫がいることもありますので、潮干狩りで持ち帰った際は注意が必要です。寄生虫と聞くと、とても気持ち悪いイメージですが、あさりやはまぐりに寄生している物はどのような生物なのでしょうか?
あさり・はまぐりに寄生する生物
あさりやはまぐりの二枚貝にいる寄生虫は、主に2種類になります。
下記にて解説していきます。
・寄生蟹 ピンノ (カクレガニ)
あさりの味噌汁を食べるとき、小さな1センチ程度のカニが入っていたことはないでしょうか?そのカニはピンノと呼ばれる二枚貝や巻貝に寄生するカニとして知られています。
ピンノはクロピンノ、オオシロピンノ、カギツキピンノなど種類がたくさんあり、約100種類いると言われています。
このピンノはオスとメスが存在し、オスのほうがメスより体が小さいというのが特徴です。そのため、オスは寄生した貝を自由に出入りでき、逆にメスは貝殻の中で成長し、大きくなると一生貝から出られなくなります。
オスとメスの見分け方として、オスは褐色で甲羅が丸く額が少し尖っています。一方メスは白っぽい色をしており、甲羅は丸く額の尖った部分はありません。
寄生虫とは言っても貝の身をを食べるということはなく、貝殻を住み家として借りている、いわば居候のような存在です。しかし、ピンノに寄生された貝は空間を占拠されてしまうため、大きく成長することができず、身が小さい状態になります。
最近では小さくてかわいいということから、ピンノを鑑賞用として飼っている人もいるそうです。あさりの砂抜きをしているときに、ときどき生きた状態で見つかることがあるので、興味のある人はそのまま飼ってみても面白いかもしれませんね!
ピンノは高い確率であさりやはまぐりに寄生しているため、今まで気付かずに食べてしまっている人もいるかもしれませんが、食べても特に毒性も無く人体に害はありません。
・カイヤドリウミグモ
ウミグモの種類は約1000種ほど存在すると言われており、大きさは1ミリ~10ミリ程度になります。
カイヤドリウミグモは孵化直後にあさりやはまぐりなどの二枚貝に寄生し、ストロー状の口で貝の身の体液を吸って成長します。成体となったウミグモは貝の外に出て産卵し、自由生活になります。通称「海の吸血鬼」とも呼ばれ何とも気味の悪い生き物で、カイヤドリウミグモに寄生された貝は、いずれ死んでしまいます。
そのため、カイヤドリウミグモが寄生する時期はあさりが死んでしまい、あさりの数が減少してしまうという問題が発生します。ウミグモの寄生時期が5月~7月とされており、この時期に寄生されたあさりが6月~7月に死んでしまうことが分かっています。このウミグモが大量発生してしまうと甚大な被害が発生してしまいます。
ちょうど潮干狩り時期ということもあり、あさりが獲れなくなるのは非常に問題ですね!
またウミグモの寄生時期と潮干狩り時期がほぼ同じなため、ウミグモに寄生されたあさりを持ち帰るリスクも高まるということです。
一部の地域ではこのカイヤドリウミグモを大量発生させないよう対策もとられています。ウミグモの天敵として魚のカレイとクロダイの存在が分かっています。潮干狩りシーズン前にカレイを放流し、ウミグモの駆除作戦を試みているそうです。
もしカイヤドリウミグモを食べてしまっても、毒性などはありませんので人体に害はありません。また、人に寄生することはありませんので安心してください。しかし気持ち悪いのでもし寄生したウミグモを発見したら、その貝は捨てるようにしましょう。
まとめ
・二枚貝に寄生する生物はピンノというカニとカイヤドリウミグモが存在する。
・ピンノに寄生された貝は大きく成長することができず、身が小さい傾向にあります。
・カイヤドリウミグモに寄生された貝は体液を吸い取られ、いずれ死んでしまいます。
・カイヤドリウミグモが大量発生すると、あさりが減少し大きい被害が発生するため、駆除するための対策が取られている地域があります。
・ピンノもカイヤドリウミグモも誤って食べても人体に害はありません。
以上、あさりやはまぐりに寄生する生物でした。
どちらも寄生するということで、あまりいいイメージは持てませんが、人体には害はありませんので安心してください。
カイヤドリウミグモは貝を死亡させてしまうため、駆除対策が成功し、あさりの被害が減少するよう期待したいところです!
これから潮干狩りに行かれる方は、寄生虫を発見してもパニックにならないよう存在を知って、安全に調理していただきたいと思います。
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